流通・加工の歴史
京都と昆布には古く深い歴史があります。それを物語ることとして挙げられるのが、流通・加工の歴史です。長い歴史の中で、現在の一般ルートとされる流通経路が開拓されるまでには幾度の変化があり、また、加工においても様々な加工品が生まれてきました。こちらでは、京都と昆布のつながりを流通・加工の歴史という観点からご紹介します。
流通の歴史
昆布は平安京の時代から宮廷儀式用として、茶道の点心として、また時には乱世の軍糧・備蓄食料として、1,000年余にわたり京都の人々の生活に根強く結びつき、今日の和食の大宗というべき京料理に重要な役割を果たしてきました。
現在も御所の南側に昆布屋町という地名が残っており、江戸時代に乾物商が京の町を賑わしていたことがうかがわれます。
北海道産の昆布が京都へ入荷されるルートは、17世紀後半まで今の福井県の敦賀を経由し、琵琶湖で船に積み替えて大津まで輸送し、近江商人の手によって京都へ運ばれるという経路でした。それが北前船の西回り航路が開かれてからは、下関から瀬戸内海、大阪を経由したあと三十石船に積み替えて淀川、宇治川をさかのぼり、現在の伏見区横大路の港へと陸揚げされるのが一般的なルートだったようです。
加工の歴史
古都「京都」では、昆布との長くて深いつながりの中で、様々な加工品が京料理、京産品と共に育まれてきました。京の料理素材としては、求肥昆布(りゅうひこんぶ)や、むき込み黒とろろ昆布、おぼろ昆布などが。昆布菓子など良質の原料を使用する商品としては、ほいろ昆布や揚げ昆布など、それぞれの加工が盛んでした。また、かごや扇などの昆布細工も料理を彩るために重宝されてきました。
そして同時に、昆布を使った加工食品も発達。京漬物の代名詞ともいえる千枚漬、山椒の葉と炊き合わせて細かく刻んだ木の芽煮などは、京の味として全国の百貨店で見かけることができます。
また、白板昆布が欠かせない若狭の鯖を使った「鯖寿司」、琵琶湖の小魚を巻いた昆布巻きなど、京の食卓に並ぶ昆布料理の種類は枚挙にいとまがありません。
さらには、現在の一般家庭でも昆布との係わりは深く、季節の野菜と昆布を炊き合わせる習慣はいまだに根強く残っており、親から子、孫の代へとその家庭の味が引き継がれています。
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